詩人になりたかった僕たちへ

詩とは、こころの涙なのでしょうか。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

眼鏡

ずっと ずうっと そばに居て ぼくをひとりにしないでね できるだけきみを大切に 守りつづけていきるからずっと ずうっと そばに居よう ぼくのみらいを照らすのは 鼻梁のうえの きみ ただひとり 松井絆

虚空

この果てをも知れぬ 大きな宇宙でさえ 未来永劫 つづくものなど ひとつも 無いのだといふわたくしたちの乗る この惑星に いにしえより受け継がれし息吹もあの音楽も あの肖像画も あの物語も あの記憶もやがては 総べて 量子も残らぬ 闇となろう おそれるこ…

退屈であれ ニ

日々の積み重ねが人生になるのだから その日々が退屈であればいい 退屈なくらいに 驚くようなきらめきも喜びもなければいい 質素に質素にして 愉しいことはすべて止めてみたらいい 美味しいも嬉しいもなくただただ そして、哀しいもくるしいもなく居られたら…

簡単

ひよんなことで カンタンに ふゆかいの 種をまきひよんなことで カンタンに 懐の武器を 振り回し傷をつけては 往き過ぎる ひよんなことで カンタンに 愛など 伝えられたなら 松井絆

祈り

じんじんじんと雨の降る 真黒(まくろ)な よるに 音の降るじんじんじんと雨の降る 草場に隠れた 蛍たち 寝泊まりしてる 話してるじんじんじんと雨の降る 祈りよ届け 彼(か)の地まで 松井絆

無題

何をも成さぬ我が手のひらを むんずと凝視し嘆いていた目あてをどれほど達っしても あのたかい山を登っても怒れるむねを宥(なだ)めても 慾(よく)した物を攫(つか)んでもこの手のなかも このむねも 空っぽ風が逆撫でた 死ぬまで何かを生み出す ことが …

勝手

もらってばかりだったろう もらってばかりだったろう こんどはこの不器用な 手で 滑けいな程(ほど)不器用な手で わたくしから先に送りたい こんどは先に送りたい もらってばかりだったろう 身勝手だったわたくしも あの日々(ひ)を 泳ぎ切ることに あまり…

未知

迷いなら捨てよ 未練、振り切る 勇気をあつめ 迷い 捨てる 迷い 履き心地良い 靴なのか こころは揺れ 断ち難く いつまで繰り返す 回り、道 選べない 臆びょうよ 未知の道に足が進まぬ 責めるな 責めるな 明星の藍(あお) 誰がためぞ また 今朝来たる 祝福の…

素直に声を聴くことが できなくなる日が こわい 拭いても拭いても 雨によごれる 窓硝子の ように 今の日を 祝ゑよ 欄干から手を放し 下を覗くまえに 眼前の風景を 仰げよ 松井絆

七月

銀河の道を 覆い隠さん 鉛色した 恨めし 曇天 あなた会いたし 見上げて恋ふも 銀河の道を 覆い隠さん 鉛色した 恨めし 曇天 松井絆

退屈であれ 一

夢中をさがした それこそ 夢中になってさがした 掴むため 埋めるため 満たすため いつの間にか疲弊していたことに 気付かずにいた まださがして いたから 松井絆